RSIは、「Relative Strength Index」や「相対力指数」とも呼ばれるテクニカル分析です。
J.W.ワイルダー氏が考案したテクニカル分析で、指定期間内での変動幅に対し、どれだけ値動きが上昇しているのかを算出します。
買われ過ぎや売られ過ぎの判定によく利用されるテクニカル指標の一つです。
- RSIの基礎知識
- RSIが得意な相場/不得意な相場
- RSIで分析できること
- RSIと相性の良いテクニカル指標
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RSIとは
RSIは「特定の期間内における変動幅の合計で、どれだけの割合がプラスの変動幅なのか」を算出しているオシレーター系のテクニカル指標です。
つまり、RSIの数値が高ければ高いほど、期間内における変動は上昇傾向にある(買いの圧力が強い)と考えることができます。
買われ過ぎや売られ過ぎの指標として多く利用されています。
計算式
RSI = 100 – (100 / (1 + U / D))
このように置き換えることもできます。
RSI = 100 × (U / (U + D))
備考
U:正のポジション価格変化の平均値(n期間)
D:負のポジション価格変化の平均値(n期間)
はちわれ
J.W.ワイルダー氏は、この計算式に加えて以下のような計算方法を提唱しているから、簡単に紹介しておくね。
- 最初の計算に用いる正のポジション価格変化の平均値U(n期間)
- U = n期間における正のポジション価格変化の合計 / n
- 2回目以降の計算に用いる正のポジション価格変化の平均値U'(n期間)
- U’ = (前日U × (n – 1) + 当日の正のポジション価格変化) / n
- 最初の計算に用いる負のポジション価格変化の平均値D(n期間)
- D = n期間における負のポジション価格変化の合計 / n
- 2回目以降の計算に用いる負のポジション価格変化の平均値D'(n期間)
- D’ = (前日D × (n – 1) + 当日の負のポジション価格変化) / n
J.W.ワイルダー氏が提唱している方法で計算すると、過去の価格変化データが計算に使用され続けます。
そのため単純な価格変化の平均値を使用するよりも、滑らかなグラフ曲線を描きます。
RSIでよく使われる期間
RSIでよく使われる期間は、14期間です。
これは、RSIを開発したJ.W.ワイルダー氏が推奨した期間です。
その他には、9日や25日なども多く使われています。
RSIで分かること
RSIで分かることは、以下のようなものがあります。
- 買われ過ぎや売られ過ぎ(天井や底)
- 相場転換の可能性(ダイバージェンス)
- トレンド継続の可能性
- 抵抗線や支持線(RSIのトレンドライン)
- 相場転換の可能性(RSIのトレンドライン)
はちわれ
じっくり見ていこう。
RSIの分析のみで相場判断を行うことは望ましくありません。複数のテクニカル指標と組み合わせて相場分析を行うことをお勧めします。
買われ過ぎや売られ過ぎ(天井や底)
RSIは、特定の期間内における価格の変動幅に対し、どれだけ値動きが上昇したかを算出します。
つまり、RSIの数値が大きければ大きいほど「価格が上昇する局面が多かった」ということになり、RSIの数値が小さければ小さいほど「価格が下落する局面が多かった」ということになります。
はちわれ
RSIの数値が高いのに、価格が全く動いていない場合もあるんだ。
このことから、「価格が上昇する局面が多かった」=「買いの圧力が強い」(「価格が下落する局面が多かった」=「売りの圧力が強い」)と捉えることができます。
そして、あまりにも買い(売り)の圧力が強い場合は、「買われ過ぎ」「売られ過ぎ」ではないかと判断する材料の一つにすることができます。
- RSIの数値が高い=買われ過ぎの可能性が高い
- 70~80%以上を「買われ過ぎ」の指標とすることが多い
- RSIの数値が低い=売られ過ぎの可能性が高い
- 20~30%以下を「売られ過ぎ」の指標とすることが多い
相場転換の可能性(ダイバージェンス)
RSIも、ダイバージェンス(逆行現象)が起こる場合があります。
ダイバージェンス(逆行現象)とは、為替レートの動きとテクニカル指標の動きが相違していることを指します。
例えば、使用しているテクニカル指標が基本的に「為替レートが上昇したら同様に上昇する」とします。この場合に「為替レートが上昇しているにもかかわらずテクニカル指標は下降している」場合、ダイバージェンスになっていると考えます。
RSIは全体の変動幅に対する上昇幅の割合を計算しているので、基本的には「為替レートが上昇したらRSIも上昇する」と考えることができます。
画像のように、「為替レートは高値を切り上げているのに、RSIは高値を更新するに至っていない(下落している)」というのは、「過去と比較して上昇幅(下降幅)が小さくなっている」=「買い(売り)の圧力が弱くなっている(勢いが小さくなっている)」と考えることができます。
つまり、実際に買われている(高値を更新している)けれども、買いの勢いは弱まっている⇒相場転換の可能性があると分析できるというわけです。
はちわれ
それは、買いの圧力や売りの圧力が継続しているということ!
簡単な例を挙げてみましょう。
- 買いの圧力が強い状況(高値A)
- 一度売りの圧力が強い状況になる。
- 再度買いの圧力が強い状況(高値B)になった。
ここで、高値Aと高値Bを比較するのは間違いです。
なぜかというと、高値Aの後、一度売りの圧力が強い状況になっています。これは、買いの圧力が強い状況は終了しているとも考えることができます。
つまり、高値Aでの買いの圧力と、高値Bでの買いの圧力は全く別物です。比較することはできません。
はちわれ
- ダイバージェンスになっている場合、相場転換の可能性が高い
- 為替レートは高値を切り上げているのに、RSIは高値を更新していない(下落している)
- 為替レートは安値を切り下げているのに、RSIは安値を更新していない(上昇している)
- ダイバージェンスは、買い圧力や売り圧力が継続している場合に判断することが重要
トレンド継続の可能性
RSIには、リバーサルシグナルというものがあります。これは、「隠れたダイバージェンス」とも呼ばれるシグナルです。
上昇トレンド時に、為替レートの安値は切り上がっているのにRSIの安値は切り下がっている場合、「過去と比較して売りの圧力が強くなっているのに実際はそこまで売られていない」と分析できます。
つまり、特定の期間全体では売りの圧力が強くなっているが、直近は買いの圧力が急激に強くなっている=そこまで売られていない(安値更新に至っていない)となり、「トレンド継続の可能性」を示していると考えることができます。
下降トレンド時は、為替レートの高値は切り下がっているのにRSIの高値は切り上がっている場合、トレンド継続の可能性と考えられます。
- 上昇トレンド時のリバーサルシグナル
- 為替レートの安値は更新されないが、RSIの安値は更新されている
- 下降トレンド時のリバーサルシグナル
- 為替レートの高値は更新されないが、RSIの高値は更新されている
はちわれ
こんな分析方法もあるよ、程度に覚えておくといいね。
抵抗線や支持線(RSIのトレンドライン)
RSIのグラフにトレンドラインを引く手法です。
RSIのグラフにトレンドラインを引くと、トレンドラインがRSIでの抵抗線や支持線になっていることが多くあります。
RSIは全体の変動幅における上昇幅の割合なので、RSIが反発すると、為替レートもそれに応じて反発します。
そのため、RSIの抵抗線や支持線が、そのまま為替レートの反発ポイントである可能性を示しています。
- RSIのグラフにトレンドラインを引くと、トレンドラインがRSIの支持線や抵抗線の役割を担っていることが多くある
- RSIの支持線や抵抗線は、為替レートの反発ポイントである可能性がある
はちわれ
え、そうでもない?
相場転換の可能性(RSIのトレンドライン)
これもRSIのグラフにトレンドラインを引く手法です。
RSIにトレンドラインを引くと、しばしば抵抗線や支持線の役割を担います。
この場合の抵抗線や支持線は、通常用いる抵抗線や支持線と同様に「支持線をRSIが割り込む(抵抗線をRSIが上回る)と、相場の転換ポイントとなる」場合があります。
特に何度も支持線をRSIが割り込む場合は、相場が不安定になっていると捉えることができるでしょう。
- RSIのグラフにトレンドラインを引くと、トレンドラインがRSIの支持線や抵抗線の役割を担っていることが多くある
- 支持線や抵抗線を担うトレンドラインをRSIが割り込む(上回る)場合、相場転換の可能性が高い
はちわれ
RSIの苦手な相場
RSIは、指定期間内での変動幅に対する上昇幅の割合を算出するオシレーター系のテクニカル指標です。
そのため、トレンド相場ではグラフが張り付いてしまうことも間々あります。
「買われ過ぎ」や「売られ過ぎ」の指標としてRSIを利用している場合は、トレンド相場においてはシグナルが不正確になりがちな点を念頭に置いて運用する必要があります。
- トレンド相場において、RSIのグラフが張り付いてしまう場合が多い
- 「買われ過ぎ」や「売られ過ぎ」の指標はトレンド相場において適切に機能しない
RSIと相性の良いテクニカル指標
RSI単体では、トレンド相場に入った際に「買われ過ぎ」や「売られ過ぎ」の指標がうまく機能しなくなるなどのデメリットがあります。
そこで、RSIと組み合わせるとさらに効果を発揮するテクニカル指標を2つ紹介します。
ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドは、「為替レートがどの範囲に分布するか」を確認するテクニカル指標です。
トレンド時はバンドウォーク状態になるなど、トレンド判定に優れているのが特徴です。
トレンド時にダマシが増えるRSIと組み合わせることで、RSIのダマシを回避することが可能になります。
また、ボリンジャーバンドの逆張り手法とRSIの逆張り手法を組み合わせることで、さらに精度の高い逆張り手法を行うことも可能です。
MACD
MACDは、2つの移動平均線がどれだけ離れているかを示すテクニカル指標です。
短期移動平均線と長期移動平均線との距離が離れていると、勢いが強いという法則を活用したものです。
MACDのゴールデンクロスやデッドクロスをRSIと組み合わせることで、トレンド相場における「買われ過ぎ」や「売られ過ぎ」の指標を除外することができるようになります。
RSIの特徴や相性の良いテクニカル指標 まとめ
いかがでしたでしょうか。
RSIは「買われ過ぎ」や「売られ過ぎ」の分析の他にも、様々な分析方法があります。
他のインジケーターと組み合わせることで、さらに精度の高い分析を行うことができます。
自分のトレードスタイルに合わせて活用してみてください。