エンベロープは、基準となる移動平均線を上下に一定の距離だけ乖離させたテクニカル指標です。
ボリンジャーバンドと似たグラフを描きますが、エンベロープは移動平均線の形状が崩れません。
移動平均線と価格がどれだけ乖離しているのかが視覚的に分かりやすいテクニカル指標です。
- エンベロープの基礎知識
- エンベロープが苦手な相場
- エンベロープの活用法
エンベロープとは
エンベロープは、移動平均線を一定の距離だけ乖離させて描画するテクニカル指標です。
移動平均線から価格がどれだけ乖離しているのかを視覚的に分かりやすくすることができます。
移動平均線乖離率のレベルラインを視覚化したものが、エンベロープと言えます。
はちわれ
ボリンジャーバンドとの違い
- ボリンジャーバンドは標準偏差を応用している
- マーケットのボラティリティによってバンドが拡張したり収縮したりする
- エンベロープは移動平均線を一定の距離だけ乖離したもの
- 移動平均線の形状が崩れることはない
ボリンジャーバンドはボラティリティによってバンドが拡張したり収縮するため「相場の強さや方向性」を示しますが、エンベロープは「相場の強さ」を判断することはできません。
はちわれ
[karen id=”603″]
エンベロープの計算式
エンベロープは、以下のような計算式で計算されます。
計算式
UPPER BAND = MA(CLOSE, y) × (1 + K /1000)
LOWER BAND = MA(CLOSE, y) × (1 – K /1000)
備考
MA(CLOSE, y):終値、期間yで計算した移動平均線(移動平均線種別は任意)
K:移動平均線からのシフトの値(基本的にポイント単位)
参考
Envelopes(エンベローブ)MetaTrader 5のヘルプ
エンベロープが苦手な相場
エンベロープは、以下のような相場が苦手です。
- イベント時など激しい値動きがある相場
- トレンドが継続している相場
- 極端に動きのない相場
イベント時など激しい値動きがある相場
指標発表や選挙などのイベント時は、値動きが大きくなります。
こういった場合の値動きには、多くの場合テクニカル分析はうまく機能しません。
エンベロープも同様にうまく機能しないことが多いと言えます。
イベント時は、価格が移動平均線から大きく乖離した(エンベロープに触れた)としても価格が移動平均線に収束しないことが多くあります。
トレンドが継続している相場
エンベロープを逆張り指標として活用している場合に当てはまります。
強いトレンドやトレンドが継続している相場では、「反発する可能性が高い」というサインが出たとしても反発せず、そのままトレンドに乗っていくケースが多くあります。
トレンドが継続している相場や、強いトレンドが発生した相場では、エンベロープを逆張り指標として活用するのは控えた方が良いでしょう。
極端に動きがない相場
市場参加者が少ない時間帯(例:日本時間の明け方)などに度々起こる、極端に動きがない相場においてもエンベロープは力を発揮することができません。
価格に動きがなさすぎると、エンベロープに触れることがありません。
エンベロープに触れないということは、エンベロープを使った相場判断ができないということです。
エンベロープの活用法
エンベロープの活用法は、「順張り」と「逆張り」の2通りあります。
はちわれ
順張り
相場がトレンドを形成している時には、エンベロープを突き破って価格が上昇していく場面がたびたび起こります。
「エンベロープを突き破るほどの強いトレンドなのでしばらく上昇を続けるであろう」と考えて順張り指標として活用するのがこの分析方法です。
エンベロープを突き破ることが一つの判断材料となっているので、エンベロープに返ってきたタイミングで終了(決済)となります。
- 上昇トレンド時
- エンベロープを価格が上抜け:買い
- 価格がエンベロープを下抜け:決済
- 下降トレンド時
- エンベロープを価格が下抜け:売り
- 価格がエンベロープを上抜け:決済
逆張り
エンベロープを活用しているトレーダーの多くが逆張り指標として活用しています。
エンベロープに触れる=移動平均線から大きく乖離しています。
価格は移動平均線に収束するという特徴を踏まえると、「いずれ移動平均線に収束する=価格が反発する」と考えることができます。
そのため、逆張り指標として活用できるというわけです。
この分析方法は、ある程度のボラティリティを持ったレンジ相場の際に力を発揮します。
- 上側のエンベロープに価格が触れる:売り
- 下側のエンベロープに価格が触れる:買い
ぶせな氏提唱「エンベロープを活用したスキャルピング手法」
継続的な利益獲得を念頭に置いており、リスクを抑えることを重視したトレードスタイルに定評があります。
エンベロープを活用したスキャルピング手法は、「最強のFX 1分足スキャルピング」という書籍で紹介されています。
著者はぶせな氏本人です。
8年間負けなし、平均年間利益163%を達成している著者が「常勝トレーダー」になるに至った経緯や考え方、方法などを解説しています。
エンベロープを活用したスキャルピング手法以外にも、参考になることや勉強になることが多くある書籍です。
エンベロープの特徴と3つの活用法 まとめ
エンベロープはシンプルなテクニカル指標です。
分析できるポイントは少ないですが、その他のテクニカル指標やライン分析等と組み合わせることで手堅いトレード手法に様変わりすることもできます。
ご自身のトレードスタイルに合わせて、上手く組み合わせてみてください。