MACDは、「マックディー」とも呼ばれるオシレーター系のテクニカル指標です。(正式名称:Moving Average Convergence Divergence)
ジェラルド・アペル氏が開発したテクニカル分析で、2つの指数平滑移動平均(EMA)を用いて計算します。
トレンド判断に強いことや移動平均を用いることから、トレンド系に分類されることもあります。
- MACDの基礎知識
- MACDが得意な相場/不得意な相場
- MACDで分析できること
- MACDの7つの活用法
MACDとは
MACDは、2つのPeriodが異なる移動平均線の位置関係を示します。
MACDに用いられる移動平均線は、指数平滑移動平均線(EMA)です。
単純移動平均線(SMA)よりも直近の価格変化に敏感な指数平滑移動平均線(EMA)を使うことで、MACD自身の反応を敏感にしています。
MACD線の各線について
MACD線
MACD線は、短期指数移動平均値から長期移動平均値を引いたものになります。
MACD線が正の数にある時は短期指数移動平均が長期指数移動平均線の上に位置していることを示します。
また、MACD線が負の数にある時は短期指数移動平均が長期指数移動平均線の下に位置していることを示します。
はちわれ
- MACD線は短期指数移動平均から長期指数移動平均線を引いたもの
- MACD線が正の数の時は、短期指数移動平均線>長期指数移動平均線
- MACD線が負の数の時は、短期指数移動平均線<長期指数移動平均線
SIGNAL線
SIGNAL線は、MACD線の単純平均値です。
はちわれ
MACD2線
MACD2線は、MACD線からSIGNAL線を引いたものです。
MACD線とSIGNAL線の位置関係や距離感、クロスタイミングなどが分かりやすくなります。
はちわれ
MACDの各計算式
- MACD[0] = EMA[0](CLOSE,x) – EMA[0](CLOSE,y)
- SIGNAL[0] = SMA[0](MACD, z)
- MACD2[0] = MACD[0] – SIGNAL[0]
備考
- MACD[0]:当日のMACD
- EMA[0](CLOSE, x):期間x、終値で計算した当日EMA
- x:短期Period
- EMA[0](CLOSE, y):期間y、終値で計算した当日EMA
- y:長期Period
- SIGNAL[0]:当日のSIGNAL
- SMA[0](MACD, z):期間zでMACDを単純平均
- MACD2[0]:当日のMACD2
参考
MACD(移動平均収束拡散法)MetaTrader 5のヘルプ
MACDでよく使われる期間
MACDでよく使われる期間は、以下のとおりです。
短期Period(x) | 9、12 |
---|---|
長期Period(y) | 26 |
SIGNAL用Period(z) | 9 |
MACDで分かること
MACDで分かることは、以下のようなものがあります。
- 2本の移動平均線の距離感
- 移動平均線のゴールデンクロス/デッドクロス
- 本の移動平均線の距離感がどう推移していくか
はちわれ
MACDで分析できる指標をさらに確実性の高い情報にするために、他のテクニカル指標と組み合わせて相場分析を行うことをお勧めします。
2本の移動平均線の距離感
2つの指数移動平均線の距離感を分析できるのは、MACDのグラフです。
はちわれ
MACDを見ることで、実際の為替レートを見るよりも「相場の動きや勢いの強さ」を分かりやすく把握することができます。
画像をご覧いだたくと分かりやすいかもしれません。
MACDのヒストグラムを辿ると、実際の為替レートにほぼ近い動きをしつつ、滑らかに動いています。
また、為替レートだと「下降トレンドが継続している」状況でも、MACDを見ると「下降力が弱くなっている」のが読み取れます。
2本の移動平均線の距離感を分析することで、相場の状況や勢いも分析できるというわけです。
- MACDで相場の方向性、勢いを分析できる
- 為替レートに近い動きをしつつ、為替レートよりもダマシが少ないのが特徴
移動平均線のゴールデンクロス/デッドクロス
2本の移動平均線を活用する方法の一つとして、「移動平均線のゴールデンクロス/デッドクロス」というものがあります。
MACDは移動平均線同士の距離感を示すので、「そろそろゴールデンクロス(デッドクロス)になりそうだ」という情報を得やすくなります。
MACDの0ラインが「2つの移動平均線がクロスするライン」です。
つまり、MACDが0ラインに近づくことで「ゴールデンクロス/デッドクロスが近い」と分析でき、0ラインを通過することで「ゴールデンクロス/デッドクロスが発生した」ということが判断できます。
- MACDが-方面から0ラインを通過する=移動平均線のゴールデンクロス
- MACDが+方面から0ラインを通過する=移動平均線のデッドクロス
2本の移動平均線の距離感がどう推移していくか
MACDの真骨頂は、「2本の移動平均線の距離感がどう推移していくのか」を分析できる点です。
これは、MACDグラフとSIGNALグラフを用いて分析します。
SIGNAL線は、MACDの単純移動平均です。
はちわれ
チェックするポイントは、「MACDとSIGNAL線のクロス」です。
MACDとSIGNAL線がゴールデンクロスした時、「2本の移動平均線の距離感(MACD)が、平均(SIGNAL線)よりも正の方向に動いている=MACDは上昇する可能性がある」と考えることができます。
逆に、MACDとSIGNAL線がデッドクロスした時、「MACDがSIGNAL線よりも負の方向に動いている=MACDは下降する可能性がある」と判断できます。
また、MACDと2本の移動平均線における関連性を踏まえると「MACDが上昇する=為替レートの上昇」、「MACDが下降する=為替レートの下落」とも考えられます。
つまり、「MACDとSIGNAL線のゴールデンクロス=買いのサイン」「MACDとSIGNAL線のデッドクロス=売りのサイン」とも捉えることができます。
- MACDとSIGNAL線のゴールデンクロス
- MACDが上昇する可能性
- 為替レートも上昇する可能性=買いのサイン
- MACDとSIGNAL線のデッドクロス
- MACDが下降する可能性
- 為替レートも下降する可能性=売りのサイン
MACDの苦手な相場
MACDは、2本の移動平均線の距離感を示すテクニカル指標です。
為替レートの動きが弱くなり移動平均線が重なりがちな「レンジ相場(もみ合い相場)」においては、ダマシが発生しやすくなったりシグナルが分析しにくくなったりする傾向にあります。
ただし、「2本の移動平均線の距離がほぼない期間が続いている=レンジ相場である可能性」といった分析も可能なので、必ずしもMACDはレンジ相場に弱いというわけではありません。
- レンジ相場(特に動きが少ない場合)
- 0ラインクロスが分析しにくい
- SIGNAL線とのゴールデンクロス/デッドクロスも分析しにくい
- 「MACDの数値が0に近いところで推移している=レンジ相場の可能性」といった相場の状況を分析することは可能
MACDをもっと活用する5つの方法
MACDには、様々な分析ポイントがあります。
どれも視覚的に分かりやすいので、扱いやすいのが特徴です。
- MACD線とSIGNAL線のゴールデンクロス/デッドクロス
- MACD線と0ラインのクロス
- MACD線が0ラインで反発
- ダイバージェンス
- リバーサルシグナル
MACD線とSIGNAL線のゴールデンクロス/デッドクロス
MACD線とSIGNAL線のクロスを分析することで、「MACD線(ヒストグラム)の動き」ひいては「為替レートの動き」を予測することができます。
- MACD線がSIGNAL線を上回る(ゴールデンクロス)
- 買いのサイン
- MACD線がSIGNAL線を下回る(デッドクロス)
- 売りのサイン
はちわれ
そこで、ダマシを少しでも減らすポイントを紹介するね。
- 角度の深いクロスをしていること
- 0ラインから、より遠くの位置でゴールデンクロス/デッドクロスをしていること
- ゴールデンクロスは-エリアのより外側でクロス
- デッドクロスは+エリアのより外側でクロス
はちわれ
角度の深いクロス
角度の深いクロスとは、画像のようなクロスを指します。
これは、角度が浅いとすぐに再クロスしてしまう可能性が高いことが理由です。
ゴールデンクロスやデッドクロスを確認した際は、角度が深いかどうかもチェックするとよいでしょう。
0ラインからより遠い位置でクロスしていること
SIGNAL線はMACDの平均である以上、MACDの数値と比較して大きく乖離することはありません。
そのため、山や谷を形成している付近でクロスすることが多い性質を持っています。
つまり、0ライン付近でクロスする時はどうしても角度の浅いクロスになってしまいがちです。
また、0ライン付近でクロスすると、仮にすぐに再クロスしなかったとしても反対側のエリアにすぐに突入してしまいます。
はちわれ
ゴールデンクロスであれば-エリアの0ラインからより遠い位置で、
デッドクロスは+エリアの0ラインからより遠い位置でクロスしているかどうかをチェックしましょう。
MACD線と0ラインのクロス
0ラインクロスは、「使用している2つの指数移動平均線によるゴールデンクロス(デッドクロス)」です。
つまり、考え方としては移動平均線のゴールデンクロス(デッドクロス)と同じです。
- MACDが-方面から0ラインを上抜ける
- 買いのサイン(移動平均線のゴールデンクロス)
- MACDが+方面から0ラインを下抜ける
- 売りのサイン(移動平均線のデッドクロス)
はちわれ
MACD線が0ライン付近で反発
0ライン付近での反発は、移動平均線がクロスしそうになったものの長期移動平均線が短期移動平均線を弾き返している状況です。
押し目買いや戻り売りといった状況の際に便利になる分析方法です。
ただし、「反発したもののすぐにクロスした」といったダマシも多いので、そこまで確実性のある分析方法ではありません。
はちわれ
ダイバージェンス
MACDにもダイバージェンスは存在します。
MACDにおいても、ダイバージェンスが発生した場合は「相場転換の可能性」を示しています。
- 上昇トレンド時
- 為替レートは高値を更新しているのに、MACDは高値を更新するに至っていない
- 下降トレンド時
- 為替レートは安値を更新しているのに、MACDは安値を更新するに至っていない
これは、「実際に買われている(売られている)から高値(安値)を更新しているものの、買い(売り)の圧力は弱まっている」という状況を示しています。
つまり、「いずれ買い(売り)の圧力はさらに弱まり、相場転換する可能性が高い」と分析できます。
はちわれ
0ラインをまたいでいたら、1回目の買い(売り)圧力は終了しているから、2回目のものとは比較できない=「ダイバージェンスは不成立」だよ。
リバーサルシグナル
MACDにおいても、リバーサルシグナルは「トレンド継続の可能性」を示しています。
- 上昇トレンド時
- 為替レートは安値を更新するに至っていないが、MACDは安値を更新している
- 下降トレンド時
- 為替レートは高値を更新するに至っていないが、MACDは高値を更新している
これは、「特定の期間においては売り(買い)の圧力は強くなっているが、直近において買い(売り)の圧力が急激に上昇しているため、実際にはそれほど売られて(買われて)いない」と考えることができます。
そのため、「MACDは安値(高値)更新であるものの、今後さらに急激に買い(売り)の圧力がさらに上昇する=トレンド継続」と考えることができます。
MACDの特徴と5つの活用法 まとめ
MACDは2つの指数移動平均線の距離感を示すテクニカル指標です。
オシレーター系でありながらトレンド系とも呼ばれるように、様々な分析を行うことができます。
自分のトレードスタイルに合わせて活用しやすいテクニカル指標と言えるでしょう。